自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、簡単に言うと以下の通りです。
専門的には、日本心身医学会により以下のように定義づけられています。
「種々の自律神経系の不定愁訴(※)を有し、しかも臨床検査では気質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」
(※)検査しても原因がはっきりしない様々な不調のこと
こうした不調を訴える人は以前からいましたが、自律神経失調症という名前が広く一般的に知られるようになったのは最近のようで、実は医師による病気の捉え方や治療方針なども一定なものはないようです。
原因不明の体調不良
私たちの身体は、自律神経によって無意識的にコントロールされています。
その自律神経が何らかの理由で乱れることによって起こるのが、自律神経失調症です。
代表的な症状としては、頭痛・肩こり・倦怠感・胃腸の不調などがあります。
このような症状がある場合、例えば頭痛であれば脳の病気が疑われたり、胃腸の不調であれば臓器の病気がまず疑われたりします。
しかし、血液検査や臓器の検査を行っても特段の異常が見られない場合、自律神経失調症の可能性があります。
私自身も胃腸の調子がずっと悪くて色んな病院へ行きましたが、「過敏性腸症候群」と診断されることもあれば「肋間神経痛」と診断されたこともありました。
結局、どちらがあっているのか、あるいは両方とも間違っているのか、わからないまま今に至ります。
そして未だに胃腸の不調があり、今では自律神経失調症の症状だと考えています。
自律神経が乱れる2大要因
自律神経が乱れてしまう主な要因は、『ストレス』と『生活リズムの乱れ』です!
この2つの言葉を聞いて心当たりあるなーと感じる人も多いのではないかと思います。
職場や学校での人間関係、仕事や勉強に追われる日々など、私たちは常にストレス環境下に身を置いて生きています。
また、仕事が忙しくて食事を抜いたり、ついスマホを長見して夜更かししたりと、何かと生活リズムが乱れがちな人も多いのではないでしょうか。
私は朝はあまり食欲がなく、毎朝朝食を抜いていました。また、仕事で遅くなった日は夜遅くまでスマホやテレビを見ていることも多くありました。
似たような生活をおくっている方もいらっしゃるかと思います。
こういった環境下においては、いわば誰もが自律神経失調症になる可能性があると言っても良いと思います。
自律神経失調症によって現れる不調
自律神経失調症という名前は、様々な症状を総称して呼ぶ俗称です。すなわち、「自律神経失調症」というのは正式な医学的な病名ではないのです。
例えば、私たちは体調がちょっと悪い時に「カゼを引いた」とよく言いますが、一口に「カゼ」と言っても頭痛・喉の痛み・悪寒・咳など様々な症状があります。
私たちはこれらをまとめて「カゼ」と総称して呼んでいますが、自律神経失調症という呼び方も同じような感じなのかもしれませんね。
ちなみに、私は自律神経失調症になり仕事を休職することになったのですが、会社に提出する診断書を主治医に書いてもらう際に病名を「自律神経失調症」でお願いしたのですが、医学的な病名ではないからそれはできないと断られてしまいました。
このように、自律神経失調症によって現れる症状の種類には個人差があります。また、症状の現れる頻度や程度にも大きな個人があります。
さらに、身体的な症状だけでなく、精神的な不調が現れる場合もあります。
自律神経失調症による諸症状を大別すると、以下のような整理になります。
ちなみに、私の場合は救急搬送されて以降、①と③の症状が強くありました。
2の症状はあまり自覚はなかったのですが、振り返ってみると、病気で倒れるずっと前から少しづつですが症状があったのではないかと感じています。
周りは気付いていても、意外と自分自身ではこれらの症状に気がつかないことも多いようです。
自律神経失調症になりやすい人!?
様々な側面から見て、やはり自律神経失調症になりやすい人というのはいるようです。
仮に、同じ職場で働いているAさんとBさんがいるとします。
仕事内容は同じで、職場で受けるストレスも同程度とします。
しかし、Aさんは自律神経失調症になるが、Bさんはならないというケースがあります。
つまり、自律神経失調症になるかどうかは、その人のストレス許容度によるのです。
また、その人自身の性格や体質なども影響するようです。
ストレス許容度には個人差があります。ただし、ここで誤解してはいけないのは、自律神経失調症になったからといって「精神力が弱い」という訳では決してないということです。
仮にストレスに対してどんなに大きな許容度を持つ人でも、24時間365日休まず仕事を続ければきっとストレスの許容度を超えてしまうでしょう。
これを踏まえ、私は「自身のストレス許容度を把握し、その許容を超えないようにストレスをコントロールすることが大切である」と考えています。
私は20歳になりお酒を飲み始めた頃、自分の体のアルコール許容度がわからず、つい飲みすぎて体調を壊したことがありました。
自分のアルコールの許容度がわかれば、お酒の量を調節して飲むことができ、宴席などでも最後まで楽しく参加できますよね。
自分のストレス許容度を知るというのは、このお酒の話とどこか似ているなと感じました。
ただ、自分のストレス許容度がどれくらいなのか、なかなかわかりづらいと思います。
しかし、ストレスが溜まってくると、軽い頭痛がするなど、体から何かしらサインが必ず発せられると思います。
そういった体からのサインが出てきたら、そろそろ自分の器がストレスで満たされそうと判断し、積極的に休むなど対策をするのが良いでしょう。
そうやって体の声を聞き、ストレスとうまく向き合っていくことが、自律神経失調症にならずに済む最良の方法だと感じています。
自律神経失調症にひそむ精神疾患
自律神経失調症の中には、うつ病や神経症などの精神疾患が隠れていることがあります。
例えば、うつ病では憂うつ感や興味の喪失などの精神症状がありますが、同時に頭痛や疲労感などの身体症状を伴うことがあります。
この身体症状の部分は自律神経失調症と共通する部分があります。
そのため、本当はうつ病だけど自律神経失調症だと誤解して、適切な治療ができていないということもあるのです。
ただ、最近ではうつ病でも精神疾患より身体症状(頭痛・動悸・倦怠感など)の方が強く出るケースが増えています。
これは、うつ病の本来の特徴である精神疾患の症状を隠しているため、「仮面うつ病」と呼ばれたりしています。
「自律神経失調症」と「仮面うつ病」は症状が似ているため、「仮面うつ病のことを自律神経失調症と呼ぶこともある」と私の主治医は説明してくれました。
私の場合、精神的な症状はほとんどなかったため、「自分の病気は精神疾患(うつ病)ではない」と考えていました。
しかし、この説明を聞いてから、「精神疾患(仮面うつ病)の可能性があるな」と感じました。
ただ、私の場合、いづれにしろ初期の治療方針は変わらなかったようで、主治医の立てた治療方針に則り治療を開始しました。
参考書籍
今回の記事の内容は以下の書籍を参考にさせて頂きました。
また、私の実際の体験と主治医から聞いた情報も交えながら紹介しております。